2009年 05月 01日
大学職員の雇用年限問題
|
ゼネラルユニオンの遠藤礼子さんが、「5年ルール」「3年ルール」の問題を分かりやすく解説する文章を書いて下さいました。掲載予定の『PACE(パーチェ)』vol.5編集部と遠藤さんの承諾を得ましたので、ここに一足早く転載します。
遠藤礼子さんといえば、大学におけるこの問題に早くから取り組んでこられた人。お会いした時にほめられました、エクスタシー、よくこのことを問題化したと。
5年問題、スト始めた当初は「使い捨てにするな、」など4個くらい言いたいことがあるだけだった。いまや、10は言いたいことがある。全世界にその不当さを訴えたいくらいです。
(ある弁護士さんは、ILO(国際労働機関)に訴えた方がいいのでは、と言っていました。)
*****************************************
大学職員の雇用年限問題 (遠藤礼子)
京都大学の非常勤職員の「5年(でクビ)ルール」の撤廃を求めて、京大時間雇用職員組合「ユニオン・エクスタシー」が、09年2月23日から京都大学時計台前で座り込みを行っている。エクスタシーという名称やドラム缶風呂パフォーマンスなどの奇抜さが目を引くが、戦略は奇抜でも、問題は普遍的だ。
◆「5年ルール」とは何か
「5年ルール」や「3年ルール」は、全国の国立や私立の大学で、1年契約の非正規職員(および教員)の更新回数の上限を定めたものだ。大学以外でも、地方自治体やその外郭団体、一部企業にも散見される。
一部で「日本には、5年(3年)以上雇うと、正社員にしなければならないという法律があり、非正規を全員正社員にする予算がないから、やむを得ず雇い止めにする」とか「労働基準法第14条で、有期雇用は3年(専門的な仕事の場合は5年)までと決まっているから雇い止めにする」などといったデマが流布している。
前者は正しくは「1年契約の更新でも、何度も更新されると、合理的な理由なく雇い止めできなくなる」という判例(「正社員並みの給料にしなければいけない」ではない)の奇妙な解釈であり、労働基準法第14条は「1回の契約の長さは3年まで」という定めであり、有期雇用契約の繰り返しにより結果として発生した長期雇用を制限するものではない。
「5年ルール」や「3年ルール」は、長期雇用によって非正規職員の権利が拡大し、雇用の調整弁として利用しにくくなったり、労働条件の改善要求をされたりすることを、経営者や正規職員が、過剰に恐れたために作られたものである。
◆京都の私大の「3年ルール」
京都大学で「5年ルール」が導入されたのは2005年3月と比較的新しいが、私立大学の「3年ルール」に20年近い歴史がある。京都の4大私大の人事担当者に問い合わせたところ、立命館大学では92年から、龍谷大学では98年から、京都産業大学では99年から、同志社大学では03年から、3年上限の「契約職員」制度が始まっている。なお、龍谷では、89年より小規模で開始しており、98年は本格導入の年で、名称は「嘱託職員」。また、立命では08年度末 (09年3月) より3年上限を5年に引き上げている。
これら私大では、この制度を長期に運用した結果、新人が仕事を覚えたころに次々と辞めさせられていくため、毎年の大量の新人採用と教育に膨大な費用がかかり、職場に大きな混乱をもたらしている。現場でこの制度を支持する者は非常に少ないが、同時にあきらめムードも漂い、上記のデマなどが流布している。
◆東京の裁判
そのような中で、注目されるのは、08年12月25日の、東京地裁の判決である。
立教女学院で、01年より派遣で、04年6月1日より直接雇用で働いてきた女性が、「3年ルール」を理由に、07年5月末日付けで雇い止めになったが、東京地裁は、この雇い止めが「客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められない」として、雇い止め無効の判決が下された。
判決文を読むと、立教女学院の労務管理がいかにもずさんであったことが、勝訴の大きな理由となっていることがわかるが、それにしても、この勝訴は画期的だ。何より、圧倒的なあきらめムードの中で、訴訟に踏み切った原告の勇気がすばらしい(判決文は首都圏大学非常勤講師組合のホームページで読める)。
◆全国の国立大の動き
多くの国立大では、04年の独法化以降「3年ルール」や「5年ルール」が導入されたが、早々に見直しが進んでいる。佐賀大学では09年4月より「3年ルール」を全廃、大分大学では、09年4月に、3月に契約満了した非常勤職員を再雇用した。
また、京都大学をはじめ、多くの大学の専任組合が、「3年ルール」や「5年ルール」に反対の運動を行っており、日々新たなニュースが飛び込んでくる。
折からの非正規労働者の問題への注目とユニオン・ブームの中、たった2人で始めた「ユニオン・エクスタシー」の運動は、京大のみならず、全国の国立大学と、そして私立大学の職場を変えることにつながるに違いない。
遠藤礼子さんといえば、大学におけるこの問題に早くから取り組んでこられた人。お会いした時にほめられました、エクスタシー、よくこのことを問題化したと。
5年問題、スト始めた当初は「使い捨てにするな、」など4個くらい言いたいことがあるだけだった。いまや、10は言いたいことがある。全世界にその不当さを訴えたいくらいです。
(ある弁護士さんは、ILO(国際労働機関)に訴えた方がいいのでは、と言っていました。)
*****************************************
大学職員の雇用年限問題 (遠藤礼子)
京都大学の非常勤職員の「5年(でクビ)ルール」の撤廃を求めて、京大時間雇用職員組合「ユニオン・エクスタシー」が、09年2月23日から京都大学時計台前で座り込みを行っている。エクスタシーという名称やドラム缶風呂パフォーマンスなどの奇抜さが目を引くが、戦略は奇抜でも、問題は普遍的だ。
◆「5年ルール」とは何か
「5年ルール」や「3年ルール」は、全国の国立や私立の大学で、1年契約の非正規職員(および教員)の更新回数の上限を定めたものだ。大学以外でも、地方自治体やその外郭団体、一部企業にも散見される。
一部で「日本には、5年(3年)以上雇うと、正社員にしなければならないという法律があり、非正規を全員正社員にする予算がないから、やむを得ず雇い止めにする」とか「労働基準法第14条で、有期雇用は3年(専門的な仕事の場合は5年)までと決まっているから雇い止めにする」などといったデマが流布している。
前者は正しくは「1年契約の更新でも、何度も更新されると、合理的な理由なく雇い止めできなくなる」という判例(「正社員並みの給料にしなければいけない」ではない)の奇妙な解釈であり、労働基準法第14条は「1回の契約の長さは3年まで」という定めであり、有期雇用契約の繰り返しにより結果として発生した長期雇用を制限するものではない。
「5年ルール」や「3年ルール」は、長期雇用によって非正規職員の権利が拡大し、雇用の調整弁として利用しにくくなったり、労働条件の改善要求をされたりすることを、経営者や正規職員が、過剰に恐れたために作られたものである。
◆京都の私大の「3年ルール」
京都大学で「5年ルール」が導入されたのは2005年3月と比較的新しいが、私立大学の「3年ルール」に20年近い歴史がある。京都の4大私大の人事担当者に問い合わせたところ、立命館大学では92年から、龍谷大学では98年から、京都産業大学では99年から、同志社大学では03年から、3年上限の「契約職員」制度が始まっている。なお、龍谷では、89年より小規模で開始しており、98年は本格導入の年で、名称は「嘱託職員」。また、立命では08年度末 (09年3月) より3年上限を5年に引き上げている。
これら私大では、この制度を長期に運用した結果、新人が仕事を覚えたころに次々と辞めさせられていくため、毎年の大量の新人採用と教育に膨大な費用がかかり、職場に大きな混乱をもたらしている。現場でこの制度を支持する者は非常に少ないが、同時にあきらめムードも漂い、上記のデマなどが流布している。
◆東京の裁判
そのような中で、注目されるのは、08年12月25日の、東京地裁の判決である。
立教女学院で、01年より派遣で、04年6月1日より直接雇用で働いてきた女性が、「3年ルール」を理由に、07年5月末日付けで雇い止めになったが、東京地裁は、この雇い止めが「客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められない」として、雇い止め無効の判決が下された。
判決文を読むと、立教女学院の労務管理がいかにもずさんであったことが、勝訴の大きな理由となっていることがわかるが、それにしても、この勝訴は画期的だ。何より、圧倒的なあきらめムードの中で、訴訟に踏み切った原告の勇気がすばらしい(判決文は首都圏大学非常勤講師組合のホームページで読める)。
◆全国の国立大の動き
多くの国立大では、04年の独法化以降「3年ルール」や「5年ルール」が導入されたが、早々に見直しが進んでいる。佐賀大学では09年4月より「3年ルール」を全廃、大分大学では、09年4月に、3月に契約満了した非常勤職員を再雇用した。
また、京都大学をはじめ、多くの大学の専任組合が、「3年ルール」や「5年ルール」に反対の運動を行っており、日々新たなニュースが飛び込んでくる。
折からの非正規労働者の問題への注目とユニオン・ブームの中、たった2人で始めた「ユニオン・エクスタシー」の運動は、京大のみならず、全国の国立大学と、そして私立大学の職場を変えることにつながるに違いない。
by unionextasy
| 2009-05-01 23:17
| 私たちの主張






